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エラーの種類と対処法(ValueError、IndexError)

Pythonプログラミングを学んでいると、エラーは必ずといっていいほど遭遇するものです。 特に初心者の方にとっては「エラーが出た=プログラムが壊れた」と不安になりがちですが、実際にはそうではありません。

エラーはプログラムが「ここに問題があるよ」と教えてくれる大切なサインなのです。 エラーの種類や意味を正しく理解し、適切に対処することで、安定性が高く、ユーザーにとって安心して利用できるプログラムを作成することができます。

今回は、Pythonでよく見かけるエラーの中でも代表的な ValueErrorIndexError を取り上げます。 サンプルコードを通して、どのような状況で発生するのか、そしてそれにどう対処できるのかを丁寧に解説していきましょう。

ValueErrorとは?

まず最初に、ValueErrorについて見ていきます。

これは、関数やメソッドに「型としては正しいけれど、値が期待されていないもの」が渡されたときに発生するエラーです。 たとえば、文字列を整数に変換しようとしたときに、文字列の中身が数字ではなく文字の場合、Pythonは変換できずにValueErrorを投げます。

サンプルコード:整数への変換

以下のサンプルコードを見てみましょう。

#関数の定義
def convert_to_int(value):
    try:
        return int(value)
    except ValueError:
        print(f"ValueError: '{value}' は整数に変換できません。")

# テストケース
print(convert_to_int("10"))   # 正常なケース
print(convert_to_int("abc"))  # エラーが発生するケース

このコードでは、 convert_to_int という関数を定義しています。

この関数は与えられた引数を整数に変換しようとします。もし引数が "10" のように数値として解釈できる文字列であれば、正常に整数へ変換されます。しかし、"abc" のように数字として解釈できない文字列が渡されると、Pythonは変換できずにValueErrorを発生させます。その結果、except 節が動作し、「整数に変換できません」というエラーメッセージが表示されるのです。

つまり、ValueErrorはデータの型は正しいが、その中身が想定外だった場合に発生するエラーだと理解すると分かりやすいでしょう。

ユーザー入力を扱う実践例

次に、この関数を使ってユーザーから入力を受け取り、整数に変換するケースを考えてみましょう。

#関数の定義
def convert_to_int(value):
    try:
        return int(value)
    except ValueError:
        print(f"ValueError: '{value}' は整数に変換できません。")

user_input = input("整数を入力してください: ")
result = convert_to_int(user_input)
if result is not None:
    print(f"変換結果: {result}")

このプログラムを実行すると、ユーザーがキーボードから入力した値をまず convert_to_int 関数に渡します。もし入力が"123"のような数値であれば、正常に変換されて結果が表示されます。しかし、もし"hello"のような文字を入力してしまうと、ValueErrorが発生し、エラーメッセージが表示されます。

このように、エラー処理を加えることでエラーでプログラムが止まってしまうという状況を防ぎ、ユーザーに再入力を促したり、プログラムを安全に継続できるようになります。

IndexErrorとは?

次に取り上げるのは IndexError です。

これは、リストやタプルなどの「順番を持つデータ構造」に対して、存在しないインデックスを指定したときに発生します。

Pythonではリストのインデックスは0から始まるため、例えば要素数3のリストに対してインデックス5を指定すると、存在しない要素を参照しようとしてエラーが出るのです。

サンプルコード:リスト要素の取得

#関数の定義
def get_item_from_list(my_list, index):
    try:
        return my_list[index]
    except IndexError:
        print(f"IndexError: インデックス {index} はリストの範囲外です。")

# テストケース
sample_list = [1, 2, 3]
print(get_item_from_list(sample_list, 1))  # 正常なケース
print(get_item_from_list(sample_list, 5))  # エラーが発生するケース

このコードでは、get_item_from_list という関数を定義しています。リストとインデックスを引数に受け取り、そのインデックスに対応する要素を返す仕組みです。もしリスト [1, 2, 3] に対してインデックス 1 を指定すれば、正常に 2 が返されます。しかし、インデックス 5 を指定した場合、リストにはその位置の要素が存在しないため、IndexErrorが発生し、エラーメッセージが表示されます。

このように、IndexErrorは範囲外のインデックスを指定したことを教えてくれるサインだと理解できます。

Pythonの代表的なエラー一覧表

Pythonにはさまざまな種類のエラー(例外)が存在します。 ここでは、プログラミング初心者が特に遭遇しやすいエラーを表にまとめました。

エラーの名前、発生する主な原因、そして対処法を簡単に理解できるよう整理しています。

エラー名 発生する主な原因 初心者向けの解説
ValueError 関数や処理に正しい型の値を渡したが、中身が期待と異なるとき 数字に変換できない文字列を渡したときなどに起こります。int("abc") のようなケースです。
IndexError リストやタプルなどで存在しないインデックスを指定したとき リスト [1,2,3] に対して my_list[5] とアクセスした場合に発生します。
KeyError 辞書(dict)で存在しないキーを参照したとき {"name": "Taro"} に対して data["age"] を呼び出すと発生します。
TypeError 型が合わない操作をしたとき 数字と文字列をそのまま足そうとする 5 + "abc" で出ます。
ZeroDivisionError 数値を0で割ったとき 数学的に定義できない計算なのでエラーになります。10 / 0 のようなケースです。
AttributeError オブジェクトに存在しない属性やメソッドを呼び出したとき 文字列に存在しないメソッドを呼ぶと出ます。例: "abc".not_exist()
NameError 定義されていない変数や関数を使おうとしたとき 宣言していない変数を呼び出した場合に発生します。
FileNotFoundError 指定したファイルが存在しないとき open("not_exist.txt") で実際にファイルが存在しないときに発生します。
ImportError モジュールの読み込みに失敗したとき 存在しないライブラリを import しようとしたときに発生します。
IndentationError インデント(字下げ)が正しくないとき Pythonはインデントが重要なため、ズレているとこのエラーが出ます。
SyntaxError 文法的に誤ったコードを書いたとき コロンの付け忘れや括弧の不一致などで発生します。

3. まとめ

今回学んだ ValueErrorIndexError は、Pythonでよく出会う代表的なエラーです。 どちらも「想定外の値や入力」によって発生するものですが、例外処理を適切に組み込むことで、プログラムを安定させることができます。

エラーをただ「嫌なもの」として避けるのではなく、「プログラムを強化するためのヒント」として前向きに活用することが大切です。

このトピックの他のセクション:

  1. Pythonの例外処理とは?
  2. エラーの種類と対処法(ValueError、IndexError)(現在表示中)
  3. finally節によるリソースの解放
  4. エラーの特定とデバッグ方法
  5. Pythonで例外を自分で発生させるraiseの使い方

出力結果: