Pythonはなぜ“インタプリタ言語”なのか?インタプリタ言語とは何なのか解説!

公開日: 2025-11-01

プログラミングを始めたばかりの人なら、一度はこんな疑問を持ったことがあるかもしれません。

「Pythonって“インタプリタ言語”って聞くけど、それってどういう意味?」 「コンパイル言語と何が違うの?」 「インタプリタだから遅いって聞いたけど本当?」

私もエンジニアとして10年以上、Pythonを仕事で使ってきました。データ分析からWeb開発、AI・機械学習まで、Pythonは今や“万能選手”のような存在です。でも、Pythonの「インタプリタ」という仕組みを理解しておくと、コードを書くときの視点が大きく変わります。

この記事では、初心者の方にもわかりやすく、

  • そもそもインタプリタ言語とは何か
  • コンパイル言語との違い
  • メリット・デメリット
  • Pythonがインタプリタである理由
  • 実際に体感できるサンプルコード

を、やさしく丁寧に解説していきます。

インタプリタ言語とは?ざっくりイメージから入ろう

まずはイメージからつかみましょう。 インタプリタ言語とは、一言でいえば「コードを1行ずつ読みながら実行していくタイプの言語」です。

私たちが書いたPythonのコードは、人間にとっては読みやすい文字列ですが、コンピュータはそれをそのまま理解できません。コンピュータが理解できるのは、0と1で表される「機械語」だけ。 だから、どんなプログラミング言語でも、人間が書いたコードを機械語に変換する仕組みが必要なのです。

その変換のやり方に、ざっくり2種類あります。

方式 特徴 代表的な言語
インタプリタ方式 コードを1行ずつ読みながら、その場で実行 Python、Ruby、JavaScript
コンパイル方式 実行前にすべてのコードをまとめて機械語に変換 C、C++、Go、Rust

この違いが、「Pythonはインタプリタ言語」と呼ばれる理由です。

Pythonの実行の仕組み

Pythonの実行を、少し日常的なたとえで考えてみましょう。

  • コンパイル言語は、映画を撮影してから編集・完成させて上映するようなもの。完成まで時間はかかりますが、上映中はスムーズです。
  • インタプリタ言語は、落語家が台本を見ながらリアルタイムで話していくようなもの。その場ですぐに実行できる反面、多少のテンポの遅さが出ることもあります。

Pythonは後者。つまり、書いたコードをすぐに実行できるというのが最大の魅力です。

実際に確かめてみよう!Pythonの「対話的実行」

Pythonをインタプリタとして体感する一番簡単な方法は、「Pythonの対話モード(REPL)」を使ってみることです。

ターミナルやコマンドプロンプトで次のように入力します。

$ python
>>> print("こんにちは、Python!")
こんにちは、Python!
>>> 2 + 3
5

このように、1行ずつ書いたらその場で実行されて、すぐに結果が返ってきます。 これこそがインタプリタ言語の特徴。実行→確認→修正のサイクルを高速に回せるのです。

コンパイル言語との違いをもう少し詳しく

コンパイル言語の場合は、コードを書いたあとにコンパイルという工程が必要です。

例えばC言語なら、次のような流れになります。

$ gcc hello.c -o hello
$ ./hello
Hello, world!

コンパイルでは、ソースコードを一気に機械語に変換して「実行ファイル」を作ります。 この一手間があるため、すぐには動かせませんが、実行速度が非常に速いという利点があります。

Pythonではどうでしょうか?

Pythonは「コンパイルしない」と言われますが、実は内部的には少しだけコンパイルしています。Pythonのコードは、実行時に「バイトコード」と呼ばれる中間形式に変換され、それをPythonのインタプリタ(CPythonなど)が実行しているのです。

Pythonが人気なのは“インタプリタ型”だから

ここで「インタプリタだと遅いのでは?」と思う方も多いでしょう。

確かに、純粋な速度だけで言えばCやGoのようなコンパイル言語には敵いません。 しかし、Pythonがこれほどまでに多くのエンジニアや研究者に支持されているのは、インタプリタであることのメリットが非常に大きいからです。

1. すぐに動かせるから学習に最適

Pythonはインストールした瞬間から、何も設定しなくてもコードが動きます。 これは初心者にとって圧倒的に嬉しいポイントです。

「printで文字を出す」「リストを作る」「条件分岐を試す」――そのすべてが一瞬で試せる。 この手軽さが、Pythonが“最初の言語”として人気な理由の一つです。

2. テストや実験が簡単

AIやデータ分析の世界では、「少しずつコードを書いて試す」ことが頻繁にあります。 インタプリタ言語であるPythonなら、Jupyter Notebookなどを使って1セルずつコードを実行しながら確認できます。

3. 実行環境がどこでも同じ

インタプリタが同じなら、基本的にどんな環境でも同じ動きをします。 WindowsでもmacOSでもLinuxでも、Pythonのコードはほとんどそのまま動く――これは本当に大きな利点です。

デメリットもある?インタプリタ言語の弱点

もちろん、すべてが完璧というわけではありません。 Pythonを使っているとインタプリタゆえの弱点も見えてきます。

1. 実行速度が遅め

前述の通り、Pythonは実行時に1行ずつ解釈していくため、Cなどに比べるとどうしても処理速度が遅くなります。 とはいえ、多くのケースでは「人間の開発スピードのほうが重要」なので、これはそこまで致命的ではありません。 必要であれば、速度の要る部分だけをCやRustで書き、Pythonから呼び出す方法も一般的です。

2. コードのエラーが実行時までわからない

コンパイル言語では、コンパイル時に文法エラーがすぐに検出されます。 Pythonの場合、実行して初めてエラーが出ることがあります。

# 例えばこんなコード
print("Hello, world!"

このコードは実行して初めてエラーになります。

SyntaxError: unexpected EOF while parsing

開発が進んでくると、この「実行してみないとわからないエラー」が少し面倒に感じる場面も出てきます。

Pythonの“インタプリタ”はいくつもある!

実は、Pythonのインタプリタには複数の種類が存在します。 有名なものをいくつか紹介しましょう。

インタプリタ名 説明
CPython 標準のPython実装。最も一般的で、公式Pythonがこれ。
PyPy 高速化を目的としたPython。JIT(Just-In-Time)コンパイルを採用。
Jython Java上で動くPython実装。Javaとの連携が得意。
IronPython .NET環境向けのPython。C#などとの親和性が高い。

私の経験でも、速度が重要な場面ではPyPyを使うことがありました。 たとえばWebスクレイピングや大量データの処理など、「少しでも速くしたい」場合に効果的です。

コードで実感する!インタプリタの柔軟さ

Pythonのインタプリタ的な強みは、「実行中でも動的に処理を変えられる」ことにもあります。

# 関数を定義して実行
def greet(name):
    return f"こんにちは、{name}さん!"

print(greet("太郎"))

# 実行後に関数を上書き
def greet(name):
    return f"お疲れさまです、{name}さん!"

print(greet("太郎"))

このように、同じ関数名を途中で上書きしても、すぐに反映されて実行されます。 「コードを書きながら結果を見て、修正してまた動かす」という流れが自然にできるのです。

エンジニア歴10年の私が感じる“インタプリタ言語の本当の価値”

私自身、CやJava、Goなどのコンパイル言語も長く触ってきました。 でも、Pythonのようなインタプリタ言語には、独特の“柔らかさ”があります。

開発をしていると、「とりあえず動かしてみよう」という瞬間が何度もあります。 インタプリタ言語は、まさにその瞬間に寄り添ってくれる存在です。

コンパイルを待たずに動かせる安心感。小さな試行錯誤を繰り返しながら、着実に前進できる感覚。 これは開発スピードだけでなく、発想力や実験力を引き出してくれるという意味でも大きいと思っています。

まとめ:Pythonがインタプリタ言語であることの“ありがたさ”

最後に、この記事の内容をまとめましょう。

観点 インタプリタ言語(Pythonなど) コンパイル言語(Cなど)
実行の仕組み 1行ずつ解釈して実行 事前に全体をコンパイル
実行速度 やや遅い 速い
開発スピード 速い コンパイルの手間あり
学習のしやすさ 高い やや難易度高め
エラー検出 実行時に発生 コンパイル時に検出
代表的な言語 Python、Ruby、JavaScript C、C++、Go

Pythonの「すぐ動く」「どこでも動く」「学びやすい」という特徴は、すべてインタプリタであることから生まれています。
だからこそ、初心者にもベテランにも愛され続けているのです。

もし今、あなたが「Pythonを始めてみたい」と思っているなら、まずはターミナルを開いてpythonと打ってみてください。 インタプリタの世界は、“書いてすぐ動く”という小さな成功体験の積み重ねから始まります。

そして、そのシンプルな体験こそが、10年経っても私がPythonを手放せない理由のひとつです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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